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2012年 01月 06日

絵本『パパと怒り鬼』

友人が、いい本だから読んで欲しいと『パパと怒り鬼ー話してごらん、だれかにー』というノルウェーの絵本(日本語版)を送ってくれた。DV(ドメスティックバイオレンス)が存在する家庭での、子どもの気持ちが実によく描かれている。

絵本『パパと怒り鬼』_a0137527_2321492.jpgDVのある家庭で、子どもが日々経験する緊張感、「自分のせい?」と思う気持ち、どうしたら脱出できるのかわからない閉塞感、救いを求めたいけれど出て来ない言葉…。

そのような子どもの思いを描きながら、DVによくあるパターン(緊張がつのった後、暴力がふるわれ、その後、加害者側が反省を示す)も、父親の中にいる「鬼」としてうまく表現されている。

子どもに、あなたのせいじゃないよ、と力強く伝えつつ、そして、加害者が更正プログラムを受けることの大切さも訴える内容(ここでは、直接的に暴力を受けている女性にはあまり焦点はあたっていないが、暴力を受けるパートナーの保護や救済、支援についても、きっと様々な施策がおこなわれているのだろう…と推測)。

この絵本の巻末にある解説では、ノルウェーでの更正プログラムについても触れられていた。ノルウェーでは、1987年からATV(オルタナティブ・トゥ・バイオレンス)という民間団体がパートナーに暴力をふるう男性に対する更正プログラムを開始したとか。来所する人のほとんどはしぶしぶやってくるが、プログラムを途中で辞めてしまう男性はわずかだという。


この絵本を読みながら、胸がキリキリ痛むのを感じたが、もしこの本に幼い頃に出会っていたら、とても力づけられ、励まされただろうなと思った。僕もDVのある家庭で育ったからだ。2000年に亡くなった父はいわゆる「酒乱」だった。僕がフェミニズムに関心を持つようになった背景には、自分がゲイだったということだけでなく、この経験も大きいと思っている。いつか、この経験もちゃんと語って行くつもり。今は、あることを考えて、その時ではないと判断しているけれど。

本当に多くの人に読んで欲しい絵本だ。これを送ってくれた友人には心から感謝。

by hideki_sunagawa | 2012-01-06 06:19 | LGBT/gender


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