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2010年 10月 23日

変わらない誤解とカミングアウト

今日、大学院の後輩が務めている大学に呼ばれて、東京プライドパレードなどについて話をしてきた。学生は全体的に真面目で、活発に質問も出て、とてもいい雰囲気の授業だった。

しかし…主たるテーマがパレードというストリートでの表現だったので、いつもより、性的マイノリティについての説明は簡単に。解剖学的性別/性自認/ジェンダーパフォーマンス/性的指向(欲望・性行為・アイデンティティ)について説明しつつも、細かい説明は省いてしまった。

すると、コメントペーパーには、トランスジェンダーと同性愛をごちゃまぜにしている記述があちこちに…。「ああ、やっぱりあれだけの説明ではダメなのね」と。

まぁ、今回のテーマは性的マイノリティの基本的なことを知ることではなかった以上、しょうがないと割り切るしかないかもしれない。また、いろんな性のあり方があって、それらは尊重されるべきということがわかればそれで十分と考えることもできるだろう。でも、やはりその状況はすっきりしない…

とはいえ、いつもこんな基本的な知識のばかりでいいのか、という思いもある。性的マイノリティをとりまく状況にはいろいろなことを考えるテーマが含まれているし、具体的な問題(パートナーシップとか)について、もっと突っ込んで話すべきことがあるような気がしている。

僕自身は、15年くらい性的マイノリティの話をしてきたが、この15年間、誤解をしている人の割合が全然変わらないという印象がある。そして、いつもいつも、「同性愛とトランスジェンダーは違う軸の話で…」「性的指向は意識的に選んでいるわけではもなく、同性を好きになる人は、異性を好きになる人と同じように、『自然に』同性を好きになるのです」と、当事者にとっては、とても基本的な話を繰り返す。

どうして、こんなにいつまで経っても、当事者にとってごく当たり前のことが知り渡らないのだろう?

やはりメディアの影響は大きいだろう。性自認や性的指向関係なく「オネェキャラ」としてくくられる人たちがマスメディアで頻繁にとりあげられる以上、そのイメージの影響力は大きい。

けれど、そのことと背中合わせの理由がもう一つあると思う。やはり、カミングアウトする当事者の少なさだ。もちろん、それぞれの状況があるわけだし、生きていくための戦略がそれぞれにあるのだから、「カミングアウトすべき」とか「すべきでない」とか言うことは誰にも言えない。

それに、だんだんとまわりにカミングアウトする人も増えていると思う。とはいえ、やはりそういう人はごく少数だ。ゲイやレズビアンが身近にいるという状況にならなければ、いつまでも誤解を強化するマスメディアに抗することはできない。

カミングアウトは、当事者の間で摩擦が生じがちなテーマであるがゆえに(推進派/反対派、アイデンティティポリティクス派/クィア派のように)、なかなか踏み込んで発言しづらいところがあるが、僕は、<できる範囲で>なるべくカミングアウトしていくことの意味をこれから強調していきたいと思っている。
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by Hideki_Sunagawa | 2010-10-23 00:55 | LGBT/gender
2010年 10月 16日

ミュージカル「RENT」

ミュージカル「RENT」を観た。

ブロードウェイ版をDVDで見慣れていたので、正直、日本語版を観るのは不安だった。ミュージカルは特にそれがつくられた言語との結びつきが強いから。

実際、元のメロディーやリズムに日本語を当てはめるのはやはり難しいと思った。でも、その難しさを十分に凌駕する迫力があった。プロの仕事をこのように褒めるのは、逆に失礼かと思ったりもするが、キャストが皆しっかりとそれぞれの役を体に染み込ませていると感じた。どの出演者もほんとにほんとにすばらしかった!

物語の舞台がニューヨークであることもあって、この作品は特に、「ブロードウェイ=本場、日本は後追い」というイメージが持たれがちだが、それが単なる偏見であることを思い知らさせてくれた。

この作品では、HIV/AIDSが重要なテーマとなっているが、この作品が書かれた時と今はHIV/AIDSをめぐる状況が全く違う。RENTの初演の年である1996年は、まさにHAARTという新しい治療方法が登場した年。それ以降、HIV感染は必ずしもAIDS発症や死とは結びつかなくなっている(治療にアクセスできる人は)。

この物語の内容は、その治療法がメジャーになる直前のものだ。多くのHIV陽性者が死の陰におびえていた時の話。そのため、このときの様子を再現することに、現在、HIVの問題に取り組んでいる人には違和感を感じる人もいるかもしれない。また、物語構造にも、疑問を感じる部分が全くないわけではない。

だけど、やはり僕はこの作品に心揺さぶられる(今回も観ながら何回涙を流しただろう)。それは、僕が知り合った人たちの姿が重なること、知り合うことはなかったけれど、その時代のニューヨークのHIV陽性者やゲイが生きた物語に触れることができるからに違いない。

しかし、とはいえ、これは私たちと関係のない過去の物語ではない。HIV/AIDSをめぐる状況が違っても、私たちの現代につながる物語だ。実は、縁あって、このRENTのパンフに文章を書かせてもらったのだけれど、そこでも、これは、今の私たちの物語でもあると書いた。

ぜひ、一人でも多くの人に観てもらいたい作品だ(そして、余裕があったらパンフを購入して僕の文章も読んでー<笑)。僕もまた観に行くつもり。東京を離れる前に、この作品を観ることができてよかった(でも、今後また再演されるなら沖縄から観に来るかも)。この作品をつくりあげた全ての人に心から感謝!

「RENT」公式サイトはここから
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by Hideki_Sunagawa | 2010-10-16 23:02 | notice
2010年 10月 13日

「これが私の生きる道?」

来年3月の引っ越しに向けて大量の資料や本を整理中。懐かしいものが色々が出てくる。今日は、あるミニコミ誌に書いた自分の文章を発見。そのミニコミ誌は、1992年から1999年頃まで(もしかしたらもっと長い間?)発行されていた『Kick Out』。

a0137527_2244024.jpgすっかり忘れていたのだが、その1997年3月に発行された、「Working Queer」というテーマの号に頼まれて文章を寄せていたのだった。タイトルは「これが私の生きる道?」。たった一ヶ月だけ高校教師を努めたときのことを振り返っている。

以下、その一部を再掲(わかりやすくするため、若干言葉を調整)。

===
(前略)

職員会議の堅く重い雰囲気、「教室に合唱部新入生歓迎コンサートのポスターを貼ることの是非」という、気が遠くなりそうなくらいくだらない議論(結局、それは教室の美化を損ねるという理由で却下された)、頼みもしないのに事務のおばさんが必ず教員全員にお茶を入れるという習慣…すべてが嫌だった。

始業式、生徒をきれいな直線に並べようと怒鳴る体育教官の声に気が重くなった。そして、整列した生徒たちが「同じ格好」をしているのが、僕の目には異様に映って、気分が悪くなるのを感じた。

入学式では、自分一人だけが「君が代斉唱」に起立をしなかった。ただ目を閉じて、じっと拳を握りしめ我慢した。あるベテラン教師は、2泊3日の泊まり込みの時間割づくりの時に、その酒の席で「沖縄のある反戦運動家を尊敬している」と熱く語っていたが、当然のように起立して「君が代」を歌っていた。それが、僕には滑稽に思えた。

「このままじゃあ病気になってしまう」本気でそう思った。そして、僕は、友達と「退職祝い」の祝杯をあげた。(後略)
===

高校に就職したのは、今から17年くらい前の話。色んな意味で「若かったなぁ…」と思うけれど、でも、変わってない部分もたくさんあるような気がする。

この文章の最後にはこう書いてある。

===
「甘い」と言われながらも、「そんなことで老後どうすんの」と言われても、「大丈夫かな〜」という不安がよぎることがあっても、やっぱり、これからも「なんとかなるさ」と言って生きていこう。

そのためには、人一倍、自分の人生に対するビジョンを明確にして、それを実現していく努力が必要なのかもしれない。でも、僕は、やる。もう後戻りはできないのだ。
===

来年、東京を離れることを決心している今、やっぱり不安になることがいっぱいだけど、ま、やはり同じように「なんとかなるさ」と言い聞かせて、でも、努力していこう。
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by Hideki_Sunagawa | 2010-10-13 22:31 | Diary