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2010年 07月 21日

15歳の僕へ

最近よくアンジェラ・アキさんの歌「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」を聴く。ご本人が歌っているヴァージョンや、合唱のヴァージョンなど。先日、東京プライド主催の「Prelude」の合同合唱でも歌われた。とても励まされる曲だ。

それを聴きつつ、ふと十五歳の頃の自分に手紙を書いてみようと思いたった。それは、今の自分の気持ちの整理のためだけど、でも、もしかしたら、その年頃の誰かを力づけられるかもしれないと思って…。

〜〜〜〜〜

十五の僕へ

高校に入ったばかりで、クラスに馴染めず、つらい思いをしているね。でも、不思議なことに、二年生になったら楽しくなるんだよ。そして、それまで経験したことのある「好き」という感情とはだいぶ違う感覚で、クラスの男の子のことが好きになる。そう、本当の初恋が待っているんだ。それはそれは、とても素敵な経験。とてもつらい思いもするけれど、二度と経験できないドキドキなんだ。その思いを大事にしてね。

時々、無性にゲイであることに不安を覚え、生きていくのがつらく感じるときがあるよね。でもね。きっと15歳ではイメージできないけれど、ゲイであることをしっかりと受け容れられるようになって、つき合う人も現れて、楽しいことうれしいことをたくさん経験するようになるんだよ。

「ゲイでよかった」と思うことがほんとにたくさんある。今の僕は、ゲイであることをオープンにして、ゲイリブ的な活動をしているんだ。想像できないよね?そんなこと。正直、その活動にはつらいことがたくさんある。でも、社会を変えたいと思うのが、僕なんだね。十五の君(僕)もそうでしょ? そういう面は変わらないみたい。

大人になるのって、とても不思議なんだ。いつの間にか大人になっている。十五の君からすると、40半ばに差し掛かる僕は、すごくおじさんで遠い存在だよね。でも、今の僕は、十五の頃をありありと思い出すことができるし、時々、そんな遠いことじゃないような気すらするんだ。

大人になってもね、迷うことがいっぱいある。いや、もしかしたら、大人になった方が迷うことが多いのかもしれない。だけど、色んなことを知る中で解放もされていく。こう言うと意外に思うかもしれないけれど、十五の頃の方がいろんなことにとらわれている面がたくさんあるんだよ。

いろんな勉強して、広い視野を身につけて、そんなとらわれから少しずつ解放されて欲しいな。今の君は、大人のほうが、がんじがらめになっているように思うだろうね。でも、まず、子どもと大人に分けて、大人はこういうもんだって考えるところがだいぶ違ってたな、とわかるようになる。大人にもいろいろいるんだ。つまり、色んな大人になることもできる。自分のなりたいようにね。

もちろん、全て思う通りになるわけじゃないけれど、可能なことはたくさんある。あきらめないで。…って、結局、僕はあきらめずに結構がんばるけど(笑)。遠回りもするし、大人になってもつらいことはたくさんある。今も正直すごくつらいよ。でも、楽しいこともたくさんある。すばらしい友人だっていっぱいできるんだ。色んな出会いがある。

けれど…悲しい別れもいっぱいあるんだ。若くして亡くなる親友もいてね。そのときは、思い出して。別れた人も、ちゃんと自分の中にいるって。そして、別れたときに後悔しないように、大事な人とはしっかり向き合って関係づくりをしてね。ありがとう、ごめんなさい、あいしてるの言葉を伝えるのを忘れないで。

十五の僕もそうだと思うけど、頑固だったりして人とぶつかることも多いよ(笑)。でもね、誠実であり続ければ、必ず自分を支えてくれる人がいてくれる。不思議なもので、つらい時、苦しい時には、必ず助けてくれる人が現れるんだ。だから絶望する必要はない。

もうどうしようもなく傷ついて、生きて行くのが嫌になるときも来る。そんな時に、自分の人生を振り返ると、しょうもなく思えたり、失敗したなと思えてしまう。でも、そのときを踏みとどまって、楽になる時期が来たら、また「自分の人生これでよかった」と感じられる。

過去は変えられない、よね。でも、それは絵に例えると線描の部分で、色はね、その後にいくらでも塗り替えられるんだ。だから、過去を振り返って灰色がかって見えても、あきらめちゃダメ。ハッピーな色で塗り替えられるときを待とうね。

待つ、と言っても、じっと自分の殻に閉じこもり続けないで。そういう時期もあるけれど、ずーっとそれでは、なかなか新しい色で塗り替えることはできない。一人で抱えないで、助けを求めようね。必ず、自分を理解し、助けてくれる人がどこかにいるから。もちろん、焦らなくていいよ。


今の僕は、君をぎゅっと抱きしめに行きたい。「がんばっているね」って。そして、「ありがとう」って。十五の君が踏ん張ったから、今の僕がいる。だから、つらい今もがんばるよ。未来の僕のために。

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「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」
合唱ヴァージョン(NHK音楽コンクール全国大会 合同合唱)
アンジェラ・アキさん弾き語りヴァージョン
  
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by Hideki_Sunagawa | 2010-07-21 03:28 | Diary
2010年 07月 06日

未来への可能性

4日(日)に東京プライド主催で開催したシンポジウム「公共性について再考する」は、約130人もの方々にご来場いただき、大盛況でした。ありがたやありがたや。

講演くださった皆様のお話、さすが…な内容でとても興味深く聞かせていただきました。それぞれお話いただく時間が短かったのが、申し訳なかった。あと、僕自身は前座的な軽めの話しか準備していかなかったので、パレードをめぐってのもっと深い話を期待して来てくださった皆様には、これまた申し訳ない結果に。

齋藤純一さんのお話で印象に残ったのは、ハンナ・アーレントの言葉をひいての「過去の再現前化」のこと。

「記憶[想起]は、過去を回想し精神に再び現前させる、という機能をもつ。この再現前化の過程において、過去は、他の現在の事物と並ぶ位置を占めるのみならず、未来の可能性へ変形される。過去の喜びを想起することにおいて、われわれは、その喜びが未来に再来することを希望することができる。ちょうど、過去の悲しみを想起することで、差し迫った災厄に対する恐れがわれわれのうちに注ぎ入れられるように。」(齋藤さん配布資料より>H.アーレント『アウグスティヌスの愛の概念』英語版、pp.55-56)

今、この言葉が、僕の中に光を灯してくれています。

宮地尚子さんは、ご自身の著書『環状島ートラウマの地政学』で、書かれている内容に、パレードや性的マイノリティの話を重ね合わせて話してくださいました。

環状島(内海を持つドーナツ状の島)は、トラウマやマイノリティ、それらの問題に関わる人たちのポジションや状態を表す彼女オリジナルのモデル。ここでは説明し切れないけれど、すごくオリジナリティのある卓抜したモデルだと思います。

今回の話の中では、「カミングアウトはしなければならないものではない。それぞれの状況があるのだから。また『隠れ当事者』として、なし得ることもある。しかし、『隠れ当事者』は、支援者(Allies)にもなりうるし、表立って語る当事者を抑圧する「世間」にもなりうる」という説明が印象に残りました。

そして、稲場雅紀さん。ナチスドイツ下で、ピンクトライアングルの印をつけられ強制収容所に送られた同性愛者の話を引きつつ、人権を訴えるときには、「我々は殺され続ている」という主張が強い説得力を持って来たが、逆に言うと、「殺され続けている」という状況がなければ、広く認められることはないのか?と、力強い語り口で、疑問を提示されていました。

その中で、難民申請をして却下されたイラン人ゲイのシェイダさん(仮名)の話も。実際には、イランではゲイの処刑はあるのだが、難民として認めるほどではないとした日本への批判でした(国連高等難民弁務官は難民として認められるという判断だったのだが)。

どの方の話もとても密度の濃い、すばらしいものでした。それだけに、クロストークが十分でなかったのは残念。でも、コーディネーターは、自分の仕事も忙しい中よくがんばってくれたなぁ、と思います。当日会場で働いてくれたスタッフも明るくテキパキと動いてくれて、おかげで、僕は安心して講演者としての立場に集中することができました。ありがたい。

パレードが終わって一段落ついたら、それぞれの方々が書かれた本を、また読み直そう、と今思っています。
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by Hideki_Sunagawa | 2010-07-06 10:34 | Diary
2010年 07月 04日

「HIVと生きる」を観て

NHK教育テレビ「HIVと生きる」を観て、いろいろな思い出や思いや感情がわきおこってきた。言語化するのが難しい…(もともと言語化が下手なんだけど<研究者のなのに)。

なぜか、いろんなシーンで涙が出てくる。

HAARTという新しい治療法が日本に入ってくる少し前に亡くなっていった人のことや、HIVを抱えて様々な症状を抱えてつらい思いをしながら亡くなった親友のことを思い出した。

また、何人ものHIV陽性者が顔を出して語っていたが、その勇気に胸を打たれた(その人たちは、またゲイであることもオープンにしていたりもする)。その中には、僕にとって大切な友人もいた。パートナーとの素敵な姿に胸が温かくなった。

また、顔を出さなくても取材を受けるというのも決して簡単なことではなかったはず。様々な思いや不安を乗り越えて言葉を紡いでくれた人たちに感謝の思いがわきおこってくる。

そして、一緒に仕事をしたり、活動をしたりしてきた人たちが語っているの観て、「ああ、素敵な人たちと知り合えたなぁ」とも思った。来年、沖縄に帰ろうと決意している僕だけど(色々な条件がそれを許すか微妙な面もあるけど…)、東京で暮らして色んな人たちと出会えて、仲間になれたことは幸せだったなぁ、と。

そんな、胸がしめつけられたり、温かくなったり、感動したり、考え込んだりする思いが涙になった。

HIV/AIDSの多面的な、複雑な現実をとても丁寧に扱った、とてもすばらしい番組だと思った。この番組をつくった方々は、「ハートをつなごう」がらみでお世話になって知っているので、その顔も思い浮んだ。僕は、「素敵な番組ありがとう」と心の中でお礼を言った。いや、落ち着いたら、直接メールを書くことにしよう。
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by Hideki_Sunagawa | 2010-07-04 23:31 | HIV/AIDS