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2010年 02月 20日

A Concept Shift from MSM to SBM

English version is following...

今日、JICAのエイズ対策研修で受けた質問から、改めて考えたことがある。それは、HIV対策や研究の世界ではすっかり定着したMSM(男性と性行為をおこなう男性)という表現について考え直さなければいけないのではないかということ。

MSMという言葉は、ゲイやバイセクシュアルというアイデンティティがなくても男性同性間の性行為をおこなう人がいることから登場した言葉なので、もともとは、行動にフォーカスした言葉だ。

しかし、なぜかいつの間にかMSMという「属性」や「集団」が実体としてあるかのように語られるようになった。あくまで便宜的な総称に過ぎないにもかかわらず。

おそらく「異性と結婚していてゲイの友人もいない、でも男性と性行為をする」という男性は、ゲイというアイデンティティを強く持つ人に仲間意識は持たないだろう。むしろ、既婚者という属性を共有できる異性愛者の方にシンパシーを持つかもしれない。

そして、MSMという言葉の持つもう一つの問題は、男性と性行為をする男性と、そうではない男性がきっちり分かれているかのようなニュアンスを与えてしまうということだ。

もちろん、性/恋愛対象が、もっぱら同性に惹かれる人と異性に惹かれる人は、ある意味「分かれて」いるかもしれない(誤解のないように、好きになる性別を意識的に選ぶことはできないと強調しておきたい)。しかしそれと、同性との行為や異性との行為があるなしは別の問題だ。

今まで男性と性行為をしてこなかった男性が、何かをきっかけに男性と性行為をすることもあるだろう。それは一回切りかもしれないし、実は自分がこれまで欲望を抑圧していたことに気づき、その行為を繰り返すかもしれない。

だから、同性間の性行為におけるHIV予防方法は、異性間のそれと同様、すべての男性に提供されるべきではないか(もちろん、女性も同様だけれど、今のところ、日本では男性の感染者が多いので、男性を例に挙げた)。

実は、日本でMSMという言葉を論文で初めて使ったのは僕なのだけれど(その当時はその言葉を使うことを厳しく批判したアクティビストたちも、後にその言葉を受け入れた)、上記のような、言葉の受け止められ方の変化もあって、今は、その概念の有効性に懐疑的になっている。

もちろん、自分が関わっている仕事で使われている以上、僕も使用するのだけれど、本当は「男性同性間性行為」(SBM:Sex Between Men)という行為に注目をした語り方をもっとしていくべきなんだろうと思っている。

そして、人を対象として考えていく時には、ゲイ/バイセクシュアル、ヘテロセクシュアル(というより、本人の意識に沿うなら「既婚者」とか「普通」とか?)というアイデンティティを軸にして語られるべきなのではないだろうか。

MSMという言葉は、人に焦点があるのか行為に焦点があるのかわからない、中途半端な言葉になってしまっているような気がする。


I may be one of the first HIV activist-researchers
who introduced a concept "MSM" (Men who have sex with Men)
into Japan mid 1990s.

Then some gay activists criticized me on using the term,
saying that it was a slight on gay identity and
that the term was useful only in areas where gay people were
so oppressed that they couldn't develop their gay identity.
In later 1990s they changed their attitude
and accepted the term.

However I've come to question the term
and think that we should use a word "SBM" (Sex between Men)
more than MSM, which means a focus shift
from a imagined group to actual behaviors.

The term "MSM" should only be used for convenience,
not as a substantial group or a target for researches.
We should pay more attention to contexts and environments
in which SBM occur.
We need to ask how risk behaviors happen in SBM in cruising areas,
private rooms, anonymous relations and long-partnerships.

It seems that the concept "MSM" divides men into two distinct groups,
those who have sex with men and those who don't do,
though they are not fixed.

Information about prevention in SBM ought to be given to
every men, because a man who have never had sex with men
may do someday (the younger he is, the higher the possibility is).
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by hideki_sunagawa | 2010-02-20 23:03 | HIV/AIDS
2010年 02月 09日

おしらせ二つ

おしらせ1

a0137527_847432.jpgLasahという二子玉川にある素敵なお茶屋さんで、悠ちゃんの個展をやっています。駅から少し離れているのですが、ほっとできる空間なのでお時間のある方はぜひ。一階でお茶などが販売されていて、二階がカフェスペースになっていて、そこに彼の絵が飾られています。とても美味しいお茶が飲めるので、お茶好きの方にはおすすめ。

会期:2010年2月1日(月) ~28日(日)
営業時間:11:00~20:00 定休日:火曜
会場:お茶と食料雑貨[ラサ]2F
(世田谷区玉川 4-8-2 ヴィヴァーチェ)
東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅 徒歩7分
電話:03-3708-9100


おしらせ2

ちまたで流行りのtwitterなるものをつい最近始めました。幸い(?)はまりまくっているわけではないけれど、ちょこちょこ書いています。
http://twitter.com/Hideki_Sunagawa

twitterって、自分が始めるのと外から見ているのとではだいぶ違うんだなぁということがわかりました。他の人がやりとりしているのを見ていても、その文脈がわからないので「?」という感じだったのですが、自分でアカウントをとって始めてみると、情報の流れ方がわかるので、「なるほどね」という感じでした(って、すごくアバウトな説明だけど…)。

twitterは、人が言葉の中に存在している、ということを実感させるツールだなぁという感じです。
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by hideki_sunagawa | 2010-02-09 08:52 | Diary