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カテゴリ:Anthropology( 4 )


2011年 10月 07日

東京滞在記(後編)

▼ICUとの縁

10月3日には、ICU(国際基督教大学)で、「セクシュアル・マイノリティをめぐるエスノグラフィ」、「セクシュアリティ再考」という二つの講義をおこなう機会をいただいた。

もともとICUとは不思議なくらい縁がある。学生数は多くない(3000人くらい?)大学なのに、この学校の出身者との出会いがこれまでたくさんあった。HIV/AIDSの活動で知ったICU出身者は数知れず。それ以外でも、現在のパートナーの「くま絵師・悠」を含め、多くのICU出身者の知り合いがいる。

これは、単なる「偶然」ではなく、ICUの学生/出身者に社会問題意識が高い人が多く、かつ中でもマイノリティについての問題に関わる人が多い(よって、HIV/AIDSの問題やセクシュアルマイノリティの問題にかかわる人がそれなりにいる)ということによるのだろう。

そんな学生たちなので、ここでの講義は、ちょっと緊張感を持ちつつも楽しみでもあった。やはり、どちらの授業も学生たちはとても真剣に聞いてくれた。聴きに来てくれていた別の大学出身の知人は、その真面目な態度にただただ驚いていた。


▼つながる話

この講義の準備をしている間は、前日の文化人類学会関東地区懇談会で話す内容と全然違うものだな…と思っていたけれど、実際に懇談会を経て、この講義に臨むと、いろいろなつながっているような気がした。

「セクシュアル・マイノリティをめぐるエスノグラフィ」は、僕が日本の文化人類学の世界で、あるいはもっと広い領域での表象に対しておこなってきた「抵抗的実践」についての話だったし(「抵抗的実践」という言葉は使わなかったけど)。

「セクシュアリティ再考」は、僕が研究を始める/続ける動機の土台にある、「セクシュアリティはプライベートなものか?」という問いをめぐってのものになったし。

あらためて、自分がやってきた研究と活動と、そしてこうやって人に伝えるということが深くつながっていることを感じた二日間となった。


▼学生との語らい

講義終了後は、ICUのCGS(ジェンダー研究センター)に残り、学生たちと色々な話を。ゲイの学生二人ともたくさん話すことができた。彼らは、二人とも、AO入試で提出するアピール文にゲイであることを書いたとか。

不利になるかもしれないそういうことを書くことを、「なぜわざわざ?」と言う人もいるかもしれないが、それは、彼らがやってきた活動内容や考えてきたことと深く結びついているからだ。本当は、そういうアイデンティティを書きたいと思ったら逡巡なく書ける社会でなければならない。

他にも、マジョリティとして、性的マイノリティの人からカミングアウトを受けたときにどう向き合うか、ということを真剣に考えている学生と会えたのも良かった。


▼希望をもらって

そんなやりとりや出会いを通じて、明るく充実した気持ちを得られた二日間だった。正直、相変わらず、経済的な状況は厳しいし、先の目処も立ってないけれど、でもまだなんとなってはいるし(これがもっと困窮したら、また「もう生きていけない…」と落ち込むのだろうけど)、こうして話す場をいただいて、いろんな人と出会えるのは、実に幸せなことだ。

この前も書いたけれど、沖縄での活動も本格的に始めようと思っているので、その希望をエネルギーにして、ぼちぼちとやっていこうかな、と。ま、東京で経験した大変な状況はできれば繰り返したくないので、ゆるゆると。

でも、それよりも生業をなんとか確立しないとなー
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by hideki_sunagawa | 2011-10-07 09:29 | Anthropology
2011年 10月 06日

東京滞在記(前編)

先週から今週にかけて、東京に滞在しておりました。

10月2日(日)に「日本文化人類学会関東地区研究懇談会」で「性に関する社会問題と文化人類学~HIV/AIDS、性的マイノリティの活動を続けて~」という発表を、10月3日にICU(国際基督教大学)で、「セクシュアル・マイノリティをめぐるエスノグラフィ」、「セクシュアリティ再考」という二つの講義をおこなう機会をいただきました。

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写真は、懇談会があった立教大学のキャンパス。


▼自由奔放な人類学者(笑)

「懇談会」は、「協働するフィールド:文化人類学の何をどう活かすのか?」というシリーズの第二回目。今回は、大学の外での活動おこなっている人類学者を招くということで、猪瀬浩平さん(明治学院大学教養教育センター准教授)と僕にお声がかかった。

猪瀬さんは大学院の後輩。院時代は全然やりとりはなかったけれど、ボランティア学会でお会いしてから、明治学院大学の授業に僕を呼んでくれたり、僕が二丁目を案内したりというおつきあいが始まった。

彼は、「見沼田んぼ福祉農園(さいたま市)を拠点に活動する、ボランティア・グループ『見沼・風の学校』の実践」をおこないつつ、その実践を人類学者として論文にもしている(その一つ→ …こうして、ちゃんと論文にするところが僕と違う…我が身を振り返ると凹む)

彼は一見、ごく真面目で堅い優等生的な研究者なのだけれど(優秀な研究者であることは間違いない)、大学教育でやっていることは、かなり自由奔放。学校側から注意されることも時々あるようだ(ま、研究室でご飯炊いて学生と食べたとか、参加型建築〜インクルーシブ・アーキテクチャー〜の実践でつくったものを学校内の教会にかけて…という程度のものだけれど)。

活動と教育、研究の領域を越え、いろんな人とつながり、学生たちに様々な経験をさせることを重視している。改めて、不思議な、面白い人類学者だなぁ、と改めて思った。


▼逡巡する人類学者(笑2)

彼に比べると、僕は、自分がおこなってきた活動をちゃんと論文にもしていないので、活動と人類学を十分に結びつけられていない。

論文にしてこれなかったのは、僕の怠惰さが一番の原因だけれど、懇談会で意見交換する中で、自分のテーマが「ゲイ・コミュニティ」や「性的マイノリティの活動」という、人類学で一層周縁的なテーマであるがゆえに、より正統的なスタイルで提示しなくてはいけないという気持ちがあるのではないか、と思った。

また、終わってから、その会に参加してくれたパートナーと少し話したが、彼が指摘した、僕が常に「コミュニティ」の代表性を付与されてしまうポジショニングの問題もあるかもしれない。

しかし、ためらいを見せずに(本当はいろいろな葛藤や逡巡もあるのだろうけれど)、自信を持って自分のかかわっていることを省察して論文にしている彼の姿を見て、僕も、できる限り文章にしていこうと思った。


▼「在野」の研究者として

と言いつつも、僕は恐らく大学での常勤職には就かないだろう。「就けない」という面があることも否定しないが、正直、そんなに大学の常勤職に魅力を感じてもいない。忙殺されている友人たちをみると、一層そう感じる(就くことを完全に放棄しているわけでもないけど)。

けれど、研究は続けていきたい。そうなると、いわゆる「在野」の研究者になる。最近その覚悟をしつつも、僕は「でも、なんだかなぁ…」と思っていた。何かそれでは足りないものがあるような気がしていて。

その「何か」を今回の懇談会でわかった気がした。問題は、「在野」であるかどうかよりも、研究者仲間との意見交換が議論があるかないか、なのだ。それがなければ、視野が狭くなりがちで、自分の気づかないところを放置したままにしてしまうことになる。

僕は、基本的に研究会や学会が好きじゃないのだけれど、こういう意味があるんだな、と今さらながら痛感した(しかし、学会は深い意見交換があまりできないので、やはり微妙だったりするけど)。ま、そういう場じゃなくても、意見を交換したり議論をする機会をつくっていくということが重要なのかもしれない。


▼研究者としての自信

正直これまで僕は研究者としての自分にあまり自信がなかった。研究よりも活動にエネルギーを投入せざるを得なかったし、やはり、文化人類学の世界では周縁的なポジションにいるし…

けれど、この懇談会と4日の講義に向けて準備し、発表する中で、自分のやってきたこと(活動をするということも含め)は、日本の文化人類学界にも大きな意味があったんじゃないか、と思えるようになったきた。

僕が大学院に入った頃は、日本の文化人類学の世界では、セクシュアリティの定義は「性器結合」を中心したもので、男女しか念頭にないものだった。しかし、最近はだいぶ変化していて、性的マイノリティの存在が前提となっている。

傲慢に聞こえるかもしれないが、僕は自分が、ゲイ当事者として「ゲイコミュニティ」のことを研究し、それを発表して来たことが、その変化の一因をつくったと考えている(もちろん、そんな僕を理解し、支援し、発表する場をくださった先輩研究者たちの存在があったから可能になったことは言っておかねば!)。

この懇談会に参加されていた方が、「自分は、文化人類学は周縁的な世界から中心世界を相対化するものだと思う」と語られていた。素晴らしい位置づけ方だと思った。そう考えると、僕もこれまで以上に自信を持って「文化人類学者です」と言える(でも、もっと勉強せねば…)。

何より、今回、こうして懇談会に呼んでもらえ、いい反応をたくさんもらえたことが何よりうれしかった。この企画をたてて声をかけてくれた院の後輩に心から感謝したい。

僕は、院生時代には、ほとんど仲間たちとの交流がなかった人間だった。それは、心のどこかに「どうせ、自分は異端者としてしか見られていないし、誰も関心を持ってないのだろう」という思いがあったからだ。けれど、実は、僕のことを見ていてくれた人たちがいた…そのことに気づき、今、心動かされている。
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by hideki_sunagawa | 2011-10-06 08:14 | Anthropology
2009年 11月 04日

Claude Lévi-Strauss Dies at 100

最近、またあまり元気がなく、日記もごぶさたしていました。
理由はあれやこれや…

I've been a little depressed for some reasons...
a financial problem, the burden of activities,
anxiousness about future and so on.

=====

たまには人類学的話題を。超ビッグネームな人類学者、レヴィ・ストロース氏が亡くなったとのこと。100歳。大往生ですね。

時事通信ニュース(yahooニュース)

I heard the news that one of the most famous anthropologists,
Claude Lévi-Strauss passed away.

News about that.
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by hideki_sunagawa | 2009-11-04 16:11 | Anthropology
2009年 10月 05日

Transgenderism in Japan

月曜日に行っている大学では
「ジェンダーの人類学」というものを教えています。
前回は、様々な地域でのジェンダーの「越境」の話をし、
今日は日本の話を。

「女装家」で、トランスジェンダーの研究でも有名な
三橋順子さんの『女装と日本人』をもとに、
歴史に残っている異性装の例などを紹介しました。

この本は、わかりやすく日本のトランスジェンダー
(<今で言うところの)についてまとめており、
自身の経験談もとても興味深い。
ジェンダーについて考え直す上で、ヒントを得た。

しかし、一応「文化人類学」を勉強して来た者からすると、
この中で前提となっている文化観が、
ちょっと素朴かなぁという気もした。
一般読者向けということもあるのだろうけど。

僕も自分の研究成果や思考をちゃんとまとめて
書き上げねば、と改めて思った。
博論、いつ本にできるかなぁ。

I'm teaching a class in a university
on cultural anthropology of gender/sexuality.
Today I told about transgenderism in Japan,
referring to a book written by Junko Mitsuhashi
who is famous as a cross-dresser and researcher.

The book, "Cross-dressing to Women and Japan",
covers historical cases of cross-dressing widely
and her own experience as a cross-dresser is
very interesting.

However I thought her perspective on cultures
and on changes of social norms is too simplistic.
She indicates that the Japan culture
which was tolerant of cross-dressing and homosexuality
till the Edo Era has been changed by western psychiatry
based on christianity.

I think that cultures always has conflicting norms
and values. The conflict is a base of social changes.
Edo era of Japan was not exception.
Before psychiatry came into Japan,
there had already been negative attitude to those,
even though it was not dominant.

I'd like to write more about my point of view on cultures
another time...
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by hideki_sunagawa | 2009-10-05 23:55 | Anthropology