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2014年 11月 29日 ( 1 )


2014年 11月 29日

クラウドファンディングをめぐる思い

▼新しくクラウドファンディング始めました

クラウドファンディング「READYFOR?」で二つ目となるプロジェクトを始めました。それは、「新宿二丁目の『ゲイコミュニティ』について研究をした博士論文を書籍化したい」というものです。

今回は、私が2008年に東京大学大学院に提出した博士論文(=博論)を書籍化するために始めました。その博論は、新宿二丁目のゲイバーを調査したもので、その街を「ゲイコミュニティ」と呼ぶ意識がどのように生まれてきたのかを、様々な観点から分析したものです。

なぜこのプロジェクトを始めたのか、その思いはプロジェクトページにたっぷりと(笑)織り込んでいます。このページを読んでいただけるだけでも意味があると思っています。どうぞよろしくお願いします。

(クラウドファンディングとは、インターネットのサイトを通し、自分の実現したいプロジェクトへの資金提供を募るもの。賛同する人は、クレジットカードで予約をする。「READYFOR?」 は、期限内に目標額に達成しなかった場合、プロジェクトにはお金は払われず、予約した人にも課金されない仕組み。)


▼緊張の初日

さて、クラウドファンディングに挑戦するのは二回目とは言っても、前回と違い、今回は私自身に関わること…もちろん、この博論が世に出されることは社会的な意味があると考えてのことですが、そうはいっても、「結局自分のためじゃん」と言われかねないもの。きっと口の悪い世界ではあれこれ言われているだろうという想像も頭をかすめる。

そのため、前回とは異なった緊張感とプレッシャーが…。「このプロジェクトに協力してくれる人はどれくらいいるのだろうか…社会的な意味も理解してもらえるだろうか…」。

そして、27日(木)正午少し前に公開スタート。出足は遅く、ヒヤヒヤしながら待っていたら、いつも私を支えてくれている仲間が一番乗り。そして、それからポツポツと申し込みが入り始め、気がつけば、1日で50%越え。READYFOR?側から、3日間で20%は到達させるようにということを強く言わていたので、かなり良い数字だ。

しかし、その数字以上に僕の心を揺さぶったものが、ひとりひとりのお名前と応援コメントだった。


▼泣き濡れた1日

名前の中には、大学院時代、そんなに接点があったわけでもない後輩もいた。疎遠になっていた大学院同期の仲間も。そして、『こういう方法で博論を出版しようとすることに眉をひそめるかも…』と思ってヒヤヒヤしながら報告した指導教官からも。日頃一緒に活動している仲間からの支援もあれば、だいぶ前に少し仕事での接点があっただけの人もいる。そして、ネットだけのつながりの人からも、面識のない人たちからも。また、これまでたくさんたくさん負担をかけた元パートナーも。

その皆の名前が次々に応援コメント欄にあがっていくたびに、涙がこぼれた。

僕は、これまでも、ほんとうに感謝しきれないくらいたくさんの人に支えられえ、愛されてきたことを実感しているけれど、その一方で、心のどこかに「全然ダメな自分」という劣等感や、「多くの人に嫌われてもいる自分」という思い込みを抱えてもいる。それは、大きくはないものの、強い存在感を放ちながら潜んでいる。そして、時にそれが発する力に振り回される。

その感情は、現在のように経済的に切羽詰まり困窮すればするほど、他のネガティブな感情も呼び寄せて、重みも増していく。正直、博論を出さなくちゃという思いのどこかには、いつまで自分ががんばれるかわからないから、出しておかなければという考えもあった(もちろん、人生なんて、いずれにせよいつまでかあるかわからないという意味も含めて)。

そんな僕だから、一つ一つの支援(システム上は「引換券購入」)の予約とメッセージが入るたびに、背中にそっと手を置いてもらったかのような暖かさと励ましを感じ、涙が溢れてきたのだった


▼「申し訳ない」という気持ち

だから、僕は感謝の気持ちでいっぱいになった。でも正直、実は、わずかだけれど、どこかに「申し訳ない」という思いもあった。もしも、自分がもっともっと経済的にしっかりしていたら、皆の力を借りずに出せたはず、あるいは、もし人気研究者のような力があったら…という考えがぬぐいされなかったからだ。

応援してくださった人たちの中には、決して余裕のある生活を送っているわけではない人たちがたくさんいることを僕は知っている。ギリギリの中から出してくれている人もいる。だから、自分自身の力があれば、その人たちに負担をかけなくて済んだのではないかと。

でも、お礼のメールを書き、返事をもらう中で、疎遠になっていた人と久しぶりにやりとりができたり、それぞれの人が今置かれている状況を知ったりする中で、この方法でよかったと思えるようになってきた。「支援の機会をくださってありがとう」と言ってくださった方もいる。僕がおこなってきた活動にお礼を言ってくれる人。伝えたいと思っていた思いを改めて伝えてくれた人。

その中には、深刻な問題を抱えて闘っている人がいることも知った。その中から暖かい言葉をかけてくれた。


▼成功へむけて

実は、来年は僕がHIV/AIDSやLGBTの活動を始めて丸25年になる。今回のプロジェクトは、この25年間を振り返りながら、いろんな人たちとの関係を思い出し、紡ぎ直す機会となっている。

正直、プロジェクトの成功にむけて、これからはこれまでのようなテンポでは進まないだろう(知人、友人の多くにはすでに情報が行き渡っているので)。ここまでで、すでに大きなものを得て、嬉しく幸せだけれど、支援を表明してくれた人たちの気持ちに応えるためにも、できるだけ多くの人に理解してもらって、成功につなげよう、と改めて意気込んでいる。

皆の応援で出版される、新宿二丁目について研究した博士論文…改めて考えてみると、意義だけでなく、単純にとても素敵なプロジェクトのような気がしてきた。がんばろう。


「新宿二丁目の『ゲイコミュニティ』について研究をした博士論文を書籍化したい」
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by hideki_sunagawa | 2014-11-29 23:55 | Diary