2011年 11月 13日

講演を終えて…

昨日は、日本病院ライブラリー協会の研修会で講演をさせてもらった。タイトルは、「性にかかわる問題と医療 ~HIVとLGBT~」。病院ライブラリーというのは、主に病院スタッフ向けに病院内に開設されている図書室で、この研修会には、その司書さんなどが参加している。

これまで講演したこと事が無い職業の人たちだったので、どういう内容で話をしようか…とだいぶ悩んだ。そして、次のような話を。

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病院は、病気をきっかけに患者の人生が現れる場所。そして、それがゆえに、マイノリティが抑圧されやすい。LGBTで言うならば、同性パートナーが家族として扱われないこととか、性同一性障害だけれど性別変更していない人の性別の扱いとか…。HIVも、治療は進歩しているが、対応が昔と(自分が活動を始めた21年前と)変わらない酷い対応をする医師もいる。

という話から、セクシュアリティの基本的な話と、セクシュアリティの持つ社会性について一通り説明。

そして、病院が人生が現れる場であると言ったが、人生を理解するためには、人文、社会科学的な知が必要だ。その知を提供できる可能性が病院ライブラリーにはあるのではないか、と。

また、医師と患者は時に異文化みたいなもの。患者にとっての悩みや苦しみは、病気そのものによる痛みとかだけではない。生活のこと、先々の不安など…。医療従事者は、患者とは違う枠組みで病気を見たりする。その異文化の間の翻訳的役割をライブラリーが担えると理想的…。
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整理して短く書くといい話をしたような気もするのだが、どうもうまく話すことができなかった。この場(病院ライブラリーの研修会)でこういう話をされても…と思われているのではないか(実際そんな雰囲気があった気がする)、と途中で思い始めてしまったことが一番の原因だった。

セクシュアリティやジェンダーに少しでも関係する講演をする場合、こういう機会だからセクシュアリティの基本的な知識を伝えたいと思い、その話を丹念にしてしまうのだが、講演によっては不自然になってしまう(けれど、前提となる知識が間違っていることが少なくないし…)。

時には、基本的な知識をあまり詳しく話さずすませたほうがいいのかもしれないな、と改めて思った。そして、先の医療スタッフと患者の間のギャップなどについては、医療人類学でも研究の蓄積があるのだから、改めて勉強しようとも。


それにしても…この病院ライブラリー協会、ほとんどが女性で、会長も顧問も女性なのだけれど、全体的に和気あいあいとしていて、活き活きとしているのがとても印象的だった!そして、僕もとても心地よかった。

男性が多い集まりでは、社会的なポジションからしかコミュニケーションをとらない感じの人とか、微妙なヘゲモニー争いみたいなものをかいま見せる人が多くて(もちろん、女性にもそういう人はいるのだが、男性の方が圧倒的に意識せずにそういう雰囲気を醸し出す人が多い気がする)、僕は、辟易としてしまう。

僕自身の講演に関しては、考えるところがいっぱいあったが、これまで出会うことのなかった業種の人たちと知り合えて、とてもいい経験となった。呼んでくださった日本病院ライブラリーの皆さん、企画運営をされた沖縄メディカルライブラリー研究会の方々、そして、僕を紹介してくれた友人に改めて感謝。
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by hideki_sunagawa | 2011-11-13 05:25 | Diary


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