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2011年 10月 23日

学歴って…

みゃーくふつ(宮古島の言葉)で歌詞をつくり、歌っている下地勇さん。2007年にNHKの「トップランナー」で観て以来、ずっと気になる存在なのだが、沖縄に戻ってからいっそう彼への関心が高まっている。

そんな彼のPodCast「ある日の宮古」というものを見つけた。FM沖縄で放送されていたものらしく、2009年3月が最後の配信となっている(その後、「二者択一」というタイトルの番組が放送/配信されているようだ)。


▼あるエピソード

その「ある日の宮古」の中で、面白い話が語られていた。彼の友人の話。貧しい家で育った友人Tさんは、高校卒業後東京に就職。平日は運送会社で働き、土日はレストランでアルバイト。それは、病気の母親の入院費を払い、見舞うため年に何回か宮古島に帰省するためだった(飛行機代も今よりかなり高かった時代、しかも最初の頃は直行便もなかった)。

東京に戻る飛行機の中でのこと。隣で寝ている男性が寒そうにしていたので、乗務員から毛布をもらいかけてあげようとした。すると、その男性が目を覚まし、会話が始まり、Tさんの身の上話に。彼は、苦労を顔に出さない明るい人、と下地さんは言う(だからきっと明るく話したんだろう、という意味に僕はとった)。

話を聞いた男性は、Tさんに「うちの会社に就職しないか」と。実は、証券会社の人(社長?)だったという。Tさんは当時、証券会社というのがどういう会社か、株の売り買いというのがどういうものであるかも知らなかった。また、その会社は大卒しか採用しない会社だった。

その男性は、「もし君がやる気があるなら、三ヶ月後に採用するから、これから三ヶ月間、大手の新聞四紙(日経、朝日、毎日、読売)を毎日読むように、特に経済欄は」とT君に言ったという。ただ、彼が高卒であることはここだけの話に、と。

Tさんは、その後、本当に毎日その四紙を読み続けたという。わからない言葉もたくさんあるから、経済用語の辞典も買って。そして、入社して1年後、彼はセールスで2番目の成績に。今は独立して更に経済的な成功をおさめているという。


▼学歴差別って…

この話を聞いて、T君の人柄が垣間見えるようで、その努力と誠実さに心を動かされた。と同時に、もともと採用の条件を「大卒以上」に限定することって…?いうことについて、改めて疑問に思った。職種によっては、大学で学んだ専門的な知識が必要な場合もあるだろう。しかし、現在の会社業務の多くは、そうではない場合の方が断然多い。

また、専門知識を問われる場合も、独学ではマスターするのが難しい実験などを伴う理工系が主で、多くの知識は独学でも得られる可能性がある。もしかしたら、人文・社会系の知識も、アカデミックな議論を誰かと交わしたり、誰かを通してしか得られないものもあるだろう。だが、そのようにして得られるものは、会社務めではむしろ嫌われるものの気がする。

大学受験というある種の「試練」を超えた人だから…という考え方をたまに聞くが、とりあえず「大卒」という資格を得るというレベルで言うと、今や「試練」らしい「試練」を経なくても入れるところも増えているし、逆に、その「試練」を乗り越えられるだけの技量や学力を持っていても、経済的理由で断念する人も少なくない。また、それなりに入るのが難しいと言われるところの学生でも、教えていて「?」と思う学生もいる。

そして、どのような知識や技量が必要かは、会社によって違うのだから、必要ならばそれぞれに試験や面接を経て決めればいい話だ。学歴によって、スタートラインにさえ立てないのはおかしな話だと思う。


また、更に話を進めると、どのような手続きを経て入ったかによって雇用の基本条件(継続の保障や賃金など)が違うのもおかしな話だと思う。入ってからは、勤務の内容によって判断されるべきだろう。この辺りは、正規雇用と非正規雇用の間にある差別の問題になってくる。

本当は、労働組合は、まさにこのような差別性についても考えていかなければならないはずだが、労働組合の「上層部」のほとんどがそのことを考えていない様子を、労働組合で非正規雇用者の労働条件改善のために闘っている友人から聞く。

問題化されていかなければならない社会問題はまだまだたくさんあるし、その中で、「当たり前」と思われているものでもう一度疑問を投げかけるべき制度や体制は数知れない。あきらめず、一つずつ問いなおすことからだな、と思う。
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by hideki_sunagawa | 2011-10-23 06:08 | labor/poverty


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