One Voice

hidekiss.exblog.jp
ブログトップ
2011年 10月 17日

否応無きつきあい

Yahoo Japan! 辞書によると、「否応無し(いやおうなし)」とは、「承知も不承知もないようす。有無を言わせないようす」という定義らしい。世の中、自分がオッケーしようとしまいと、受け入れざるを得ないことがたくさんある(いや、もしかしたら大部分はそうなのかもしれない)。

…と書くと重い話を書きそうだが、実はそうじゃない話(苦笑)。


▼「はっさ、◯◯さんよ…」

「はっさ、◯◯さんよ…」という表現は、誰かに呆れたとき、腹が立ったときなど、よく口にされるウチナーグチ(ウチナーヤマトグチ?)だ。その言葉が出される文脈によって、重みやニュアンスは異なるのだろうが、なんとなく、その言葉には「あー、しょうがないなー、もう」という、受け入れる雰囲気を感じることが多い。

そんなことをふと思ったのは、10月5日に開催された、由井晶子さんの本の出版記念の会に参加したときのこと。

由井晶子さんは、1933年生まれのフリージャーナリスト。沖縄タイムス社に勤務し、日本で女性初の編集局長になった方だ。「うないフェスティバル」にも長らく関わっていて、僕は、今年の「うないフェスティバル」の実行員会で初めてお会いした。年齢を感じさせない若々しさに驚いた。今年、『沖縄 蟻は像に挑む』(七つ森書館)を上梓された。この本は、『労働情報』に1998年12月〜2011年5月までに連載されていた文章をまとめたもの。

その出版の会の「第二部 由井晶子を語ろう」では、由井さんと縁のある人が登壇して彼女のことを語ったのだが、沖縄タイムス社の後輩にあたるフリージャーナリスト、山城紀子さんは、同社にいるときに、由井さんとたくさん衝突したという話を具体例を交えつつ話されていた。冗談っぽく面白く語ってはいたが、きっとその時々には、本当に腹が立ったりもしたのだろうと想像し、先の言葉が頭に浮かんだのだった。

また、沖縄女性史家の宮城晴美さんは、「この本に、女性の話が登場しないことに、仲間からの批判もある」とサバサバと指摘し、「でも、それは、この本の編集にかかわった真喜志好一が悪いという話になりつつある」と、その前の第一部に登壇した彼が会場にいることを知りつつ、冗談なのか本気なのかわからない雰囲気でコメントを。

a0137527_813956.jpg

[左から、山城紀子さん、由井晶子さん、宮城晴美さん、今郁義さん(北谷町生涯学習プラザ館長)]


▼つながり

このような忌憚ない事が言えるのは、彼女/彼らの間に信頼関係があり、互いに尊敬しているからであることは言うまでもない。山城紀子さんは、後輩とは言っても由井さんよりかなり年下で、由井さんが女性として切り開いて来た道のすごさを体感してきただろう。

真喜志さんは、建築家だが反基地運動の活動家として有名な方。反基地運動を共有する言論人として、彼女/彼らはつながっている。その信頼感とつながりの中で、率直に言える関係っていいなぁ…と思いながら、僕は客席からその様子を眺めていた。

そこには、自分と考えが合わない面があったり、性格の違いから腹が立つ事があっても、そのことに「はっさ…」と言いつつつき合い続けて行くイメージだ。もちろん、もともとある種の「考え方」の共有でつながっているので、そこで決定的な意見の違いが出なければという条件付きなのだろうが…。

その背景には、昨日書いた「狭い」社会ということもあるだろう。関心テーマが共通するならば、つき合わざるを得ない。もちろん、東京でもそういうことは山ほどあるのだが、人口が多く活動する団体もたくさんあるがゆえに、ある程度距離を保ちやすい。また、活動自体から離れれば、その他でつながることはほとんどなかったりする。

沖縄では、関係をたどるとすぐにつながりを見いだせたり、出身地での結びつきがあったりということもあり、活動で知り合った相手と他のことで結びついていたりすることもある。そうなると否応無さが増す結果となるのだろう。その否応無さをどう処理していくのか、それが狭い地域社会での生き方のような気がする。

全てを「しょうがない」と受け入れるのは、時に自分を押し殺して行くことになるし、かといって、人と人は違う以上、違いばかりを見つけて人との間に壁をつくり、ごくごく意見の近い人とだけつき合うのも寂しい気がする。

僕も様々な社会問題に関心があるものとして、いろいろな人と出会いつながっていくに違いない。そうしてつながりが広がり、深まる中で、今回得た印象とだいぶ違うものが見えてくるかもしれない。どれだけ違うのか、あるいは「やはりそうだった」と思うのか…。後々、その確認ができるようにと、この文章を書いてみた。さてさて、結果はどうなるだろうか…。
[PR]

by hideki_sunagawa | 2011-10-17 08:26 | Okinawa


<< 琉球近代史に思いをはせつつ      那覇生活半年 >>