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2010年 07月 06日

未来への可能性

4日(日)に東京プライド主催で開催したシンポジウム「公共性について再考する」は、約130人もの方々にご来場いただき、大盛況でした。ありがたやありがたや。

講演くださった皆様のお話、さすが…な内容でとても興味深く聞かせていただきました。それぞれお話いただく時間が短かったのが、申し訳なかった。あと、僕自身は前座的な軽めの話しか準備していかなかったので、パレードをめぐってのもっと深い話を期待して来てくださった皆様には、これまた申し訳ない結果に。

齋藤純一さんのお話で印象に残ったのは、ハンナ・アーレントの言葉をひいての「過去の再現前化」のこと。

「記憶[想起]は、過去を回想し精神に再び現前させる、という機能をもつ。この再現前化の過程において、過去は、他の現在の事物と並ぶ位置を占めるのみならず、未来の可能性へ変形される。過去の喜びを想起することにおいて、われわれは、その喜びが未来に再来することを希望することができる。ちょうど、過去の悲しみを想起することで、差し迫った災厄に対する恐れがわれわれのうちに注ぎ入れられるように。」(齋藤さん配布資料より>H.アーレント『アウグスティヌスの愛の概念』英語版、pp.55-56)

今、この言葉が、僕の中に光を灯してくれています。

宮地尚子さんは、ご自身の著書『環状島ートラウマの地政学』で、書かれている内容に、パレードや性的マイノリティの話を重ね合わせて話してくださいました。

環状島(内海を持つドーナツ状の島)は、トラウマやマイノリティ、それらの問題に関わる人たちのポジションや状態を表す彼女オリジナルのモデル。ここでは説明し切れないけれど、すごくオリジナリティのある卓抜したモデルだと思います。

今回の話の中では、「カミングアウトはしなければならないものではない。それぞれの状況があるのだから。また『隠れ当事者』として、なし得ることもある。しかし、『隠れ当事者』は、支援者(Allies)にもなりうるし、表立って語る当事者を抑圧する「世間」にもなりうる」という説明が印象に残りました。

そして、稲場雅紀さん。ナチスドイツ下で、ピンクトライアングルの印をつけられ強制収容所に送られた同性愛者の話を引きつつ、人権を訴えるときには、「我々は殺され続ている」という主張が強い説得力を持って来たが、逆に言うと、「殺され続けている」という状況がなければ、広く認められることはないのか?と、力強い語り口で、疑問を提示されていました。

その中で、難民申請をして却下されたイラン人ゲイのシェイダさん(仮名)の話も。実際には、イランではゲイの処刑はあるのだが、難民として認めるほどではないとした日本への批判でした(国連高等難民弁務官は難民として認められるという判断だったのだが)。

どの方の話もとても密度の濃い、すばらしいものでした。それだけに、クロストークが十分でなかったのは残念。でも、コーディネーターは、自分の仕事も忙しい中よくがんばってくれたなぁ、と思います。当日会場で働いてくれたスタッフも明るくテキパキと動いてくれて、おかげで、僕は安心して講演者としての立場に集中することができました。ありがたい。

パレードが終わって一段落ついたら、それぞれの方々が書かれた本を、また読み直そう、と今思っています。
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by Hideki_Sunagawa | 2010-07-06 10:34 | Diary


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